松本清張

影の地帯  北の詩人  松本清張全集48  昭和史発掘

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

松本清張について
確か中3でこの「影の地帯」を読んでから、清張にハマった感がある。当時は小説家として売れっ子だったので、戦略上の要素もあったのかB6サイズの「カッパノベルズ」として販売されていた。「高校殺人事件」などというものも書いているが、知っている人は少ない。カッパノベルズは小遣いで10冊ほど買った記憶がある。
高校在学中に、学校にあった「昭和史発掘」(5巻か6巻あった)も読んだが、これは全くの歴史本であり、非常に読みづらかった。ただ、氏が得意とするノンフィクションのネタ本に相当するものであり、後に読んだ「下山事件」、「スパイMの謀略」などを読む時のベース作りにはなった。
社会人になってから2年ほどして、「清張全集を1ケ月に二冊配給する」という出版社のシリーズ販売があり、それに申し込んでから約2年間、全48冊を読んだ。いまでも記憶に残っているのは数冊程度であり、ほとんど忘却の彼方であるが、これだけの量を読むと清張自身の感覚が雰囲気として乗り移った様な意識がある。思考、文章表現等についてそれなりに影響を受けていると思われる。
社会正義の人。権力に対する反発は並の人間では遠く及ばない。
「或る小倉日記伝」でデビューしたのが40代だった。それまで新聞社の地方通信員。学歴としては低く、それなりの屈辱も味わったことだろうが、結果的にそれが良い方向に転換出来た。
清張から学ぶべきこと
・地位、名誉に惑わされない。
・不正は行わない。

 

 

 

 

 

 

題名 著者 出版 発表年
北の詩人 松本清張 角川文庫 1983

実在した詩人「林和(リムファ)」を軸に終戦後の朝鮮舞台としたアメリカ情報部のスパイ活動、結核の治療薬欲しさに、次第に情報提供の深みにはまっていく林和。
題材としては非常に地味だが、フィクションとノンフィクションのわずかな隙間に光を当て、登場人物を生き生きと描く。基本的に共産系の作家だったので、こういったプロレタリア系のテーマは若干バイアスが掛かった印象があるが、さほど不快感なく読ませてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

題名 著者 出版 発表年
影の地帯 松本清張 新潮文庫 1963

カメラマン田代利介。福岡から東京に向かう飛行機で、隣に座る女性と知り合う。連れは小太りの男。
東京のバーで彼女と再会。
出版社の提案で、信州の湖畔めぐり撮影に出掛ける利介。
木崎湖で小太りの男を見かける(運送店で荷物を受け取る)。不審に思い調べると伝票では「石鹸」 めぐる湖畔の先々で小太りの男の影。送りつけられる「石鹸」荷物の中には「葛粉」も。調べまわるうちに、利介は何者かにより狙撃される。
ある政治家の失踪が話題になり始める。利介は日程に基づき諏訪湖に。
例の女性を街で見掛けて追跡。途中でまかれるが、メモの伝言を受け取る。「事件に近づくな」との警告。
荷物の正体は石鹸ではなくパラフィン。
新聞記者の木南に情報を流した結果、彼も行方不明に。再び小太りの男の影。
荷物はバラバラ死体をパラフィンに漬けたものだとの疑い。
敵のワナに落ちる利介。火事のドサクサで辛くも脱出。彼女に救われる。正体を明かせない彼女を抱きしめ、接吻。去っていく女。
木屑の秘密。新たな死体処理方法。
政治家失踪の背後にある、建設会社の診療所に潜り込み、真相をつかむ利介。だが敵に捕まりピンチに陥る。
危ないところで警察の救援。彼女は敵側の仲間の妹だった。
事件も解決し、新たな展開・・・・・・・
コメント
社会派の清張にしてはさわやか系の青春ドラマになっている。初めて読んだのがこれでなかったら、清張にすぐ同化出来たかちょっとあやしいかも知れない。清張にしては話し言葉が多く、詰めもやや甘いが、楽しく読める一冊。最近古本屋で見つけ、「最初に読んだ清張」ということで懐かしさもあり、ザッと読み返した。

 

 

 

 

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