その他

 

 

 

 

 

 

題名 著者 出版 発表年
鳩笛草 宮部みゆき 光文社  

宮部みゆき作品集「鳩笛草」光文社

「朽ちてゆくまで」
母親が亡くなった事をきっかけにして、自分の過去を次第に思い出して行く女性。
凍結されていた「予知能力」の記憶

「燔祭」
妹を暴走族の若者に殺された男。復讐を手助けしようとする女が現れる。念力で火を点ける能力。
「クロスファイヤ」の原型。

「鳩笛草」
相手に触れる事で心を読む事が出来る女性。職業は刑事。その能力のために生じる体の変調。


空港での時間つぶしに買ったもの。有名なのは「模倣犯」だが、全く興味がなく、買った時も
「あー、女流作家だったの」てなノリ。この本はいわゆる「超能力もの」に分類される。
普通の一般社会で生活している超能力者という観点が面白いが、まあモチーフとしては
「家族八景」を超えるものではないなー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

題名 著者 出版 発表年
地を這う虫 高村薫 文春文庫  

高村薫作品集「地を這う虫」文春文庫

・愁訴の花
 妻を絞殺した刑事。7年の刑期を終えて、その掘り起こしを始めるが・・・・
・巡り逢う人びと
 元刑事でローン会社の取立屋。借金返済にからんだ傷害事件に巻き込まれる。
・父が来た道
 大政治家の専属運転手。政界の裏情報を警察に流し、かつ先方の動きもリターン(2重スパイ)
 選挙汚職で服役中の父との確執。
・地を這う虫
 妻の身内の不祥事で刑事の職を追われた男。2ケ所の職場で単身生活。
 生活エリア内で発生した空き巣事件に首を突っ込み・・・・

この人の本は初めて読むが、みな元刑事の話。彼の本業も刑事だったのかな?
終わり方がスカッとしない。
微妙な後味の悪さが残るが、これを好ましいと感じる部分も少しある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

題名 著者 出版 発表年
短編集:恩讐の彼方に 菊池寛 角川文庫 1957

主人の妻と姦通し、その妻と共謀して主人を殺した男。女と共にどんどん堕ちていく人生、最後には追いはぎで旅の若夫婦まで手に掛け、その自己嫌悪から女の元から逃げ出す。
放浪の末に寺に身を寄せ、僧に諭されて出家する。
街道の難所で多くの人が命を落としている事を知り、岩を穿って道を作ろうと行動を始める。

文壇の大御所として有名だが、作家としてのスタートはやや遅い。テレビでも話題になった「真珠夫人」で圧倒的人気を得、通俗作家としてまず成功した。「文芸春秋」の発刊者。
標題作は確かに感動的な話であり、かなり有名な作品でもあるがどうも表層的に流れ、深く心に迫るという様な感動は覚えず。山本周五郎の方により親さを感じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

題名 著者 出版 発表年
零式戦闘機 吉村昭 新潮文庫 1978

昭和14年3月の朝、三菱重工業名古屋航空機製作所から牛車で各務原飛行場へ運ばれる試作機。
その卓越した航続距離により真珠湾攻撃を可能にし、1点を除いては理想的な戦闘機といわれた「ゼロ戦」の、誕生から終末までのドラマを第二次大戦の流れとともに描く。
ゼロ戦の決定的な弱点、それは当時の日本そのものであり、今読み返しても十分に通用する示唆、教訓を内包している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

題名 著者 出版 発表年
短編集:檸檬 梶井基次郎 新潮文庫 1967

1901年生まれ。中学時代から文学書に親しみ、高校時代には漱石に傾倒。肋膜炎で入院し、以後彼の宿病となる。
同人誌「青空」を仲間と共に創刊。そこでの発表が活動の中心だったが、当時の文壇は充実しており、注目される事は少なかった。1932年に病死(享年31歳)。
この短編集には20編が納められているが、短いものは3ページ、長くても30ページ程度。凝縮された文は繰り返し読む事で味わいを増していく。「静謐にして澄明」という書評がぴったり来る。
「桜の樹の下には死体が埋まっている」という表現は梶井のもの(「桜の樹の下には」)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

題名 著者 出版 発表年
十三秒半 三浦朱門 文春文庫 1977

広告業界の裏側を題材にした、いわゆる「業界小説」
十三秒半とは、テレビCMのオンエア時間のこと。
作者の名前がちょっと気になったので読んでみたが、まあ普通の人だった・・・・(?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

題名 著者 出版 発表年
稚くて愛を知らず 石川達三 角川文庫 1967

両親からの愛を一身に受け、美貌と清純な心を持って成長した友紀子。博士号を取るために苦労している
医学生の三宅は、大学教授の紹介で見合いをする。研究費の援助を受けて博士号を取り、医師として一人前
になる事を前提として友紀子と結婚する。
しかし友紀子は、結婚生活に対してほとんど理解能力がなく、夫に対しても愛情を育てる事が出来ない。
三宅は研究費の援助こそ受けたが、家事もろくに出来ず精神が未発達の妻と、実家との間で多くの犠牲を
強いられる。子供が生まれても特に愛情を感じず、養育は母親に任せきりの友紀子。子供が9歳で病死した
時も悲しみを感じない。戦中、戦後の混乱の中で妻の実家に振り回される三宅。

ぼんやりとした記憶はあったが、改めて読むとけっこう大変な話。美貌の妻と援助の研究費。こんないい条件
での結婚はないと思っていたのが、結婚生活が始まるにつれ、次第に明らかになる妻の性格。特に異常である
とも言えないが、連れ合いに愛情を感じることが出来ず、主婦としての能力もないという事がどういう結果になる
か、じわじわと迫ってくる感覚がすごい。
実際、ここまでひどくはないと思っていても、現実の事件では信じられない様な妻、母が現れるのも確か。
当時は実験的と言われたらしいが、最近では珍しくもないか。
読み始めると一気に読ませてしまうのはさすが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

題名 著者 出版 発表年
武蔵野夫人 大岡昇平 新潮文庫 1967

終戦間もない武蔵野地域(国分寺周辺)を舞台とする物語。
講師の傍ら、翻訳の仕事もしている秋山とその妻道子。道子の従兄弟である大野の妻富子。この2組の夫婦の元に、戦線から道子の従兄弟である若者 勉が復員して来た事から、波紋が広がり始める。
感想
何事にも控え目な道子と、奔放な富子。対照的な2人の間で次第に道子に惹かれていく勉。
描いてしまうとかなり通俗的だが、道子と勉のプラトニックな感情の流れを軸に、ていねいに話が綴られていく。
結局は悲しい結末を迎えるが、文体のせいか内容の割りには落ち着いた印象が最後に残った。

 

 

 

 

 

 

 

 

題名 著者 出版 発表年
海と毒薬 遠藤周作 講談社文庫 1971

気胸を患っている男が、引越し先の開業医に通い始める。ひょんな事からその開業医が戦時中に起こした
事件のことを知る。
その医師、勝呂は米国人捕虜を使った生体実験に助手として参加していた。勝呂を始めとして、それに関わった
人間たちが生体実験に引き込まれていく過程が淡々と綴られていく。

若い頃に読んでいた。ストーリーはほとんど忘れていたが、たまたま「BOOK OFF」に立ち寄った際、目に止まって
思わず買ってしまった(100円)。医師としての感覚が次第にマヒしていくのを恐れる勝呂。幼少の頃から大人に
迎合する術にたけ、成人してからも倫理面で欠落のある戸田。この2人を軸に話が進んでいく。
10歳で父母が離婚。カトリック信者だった伯母の影響で教会に通った事が、氏の持つカトリシズムの原点。
狐狸庵先生、「ぐうたら人間学」に代表される軽いものは一切読んでいない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

題名 著者 出版 発行年
氷壁 井上靖 新潮文庫 1963

若き登山家、魚津恭太。サラリーマンではあるが、その道では多少知られた存在。
親友の小坂乙彦に呼び出されるが、そこで美貌の人妻、八代美那子に出会う。
美那子のふとした誘いから、乙彦がのめりこみ、結局その調停役を魚津が背負わされる。
納得した乙彦。彼らは2人で冬の奥穂高新ルートに挑むが、そこで事故が発生する。

「切れたナイロンザイル」。当時、軽くて万能と言われていたナイロンザイルの弱点を題材にして描かれたこの小説は映画化もされ、小説さながらの公開実験もされた様だ。
小説では、実験を行ってもザイルは切れず、同行した魚津の立場が微妙な状況となるが、彼は一切弁解をせず沈黙を守る。
事故の後、魚津に次第に想いを寄せる美那子。同じく彼に惹かれていく、乙彦の妹かおる。
美那子に惹かれながらも、かおると共に生きる決心をする魚津。
だが、かおるを山小屋に待たせ、落ち合うために向った山で彼は命を落とす。

 

 

 

 

 

 

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